足のむくみ・歩行時の痛み
足のむくみ・歩行時の痛み

足のむくみや歩行時の痛みは、循環器・血管系の異常によって起こることが多い症状です。特に、心臓のポンプ機能の低下によるうっ血、静脈やリンパの流れの障害、動脈の狭窄や閉塞による血流不足が代表的です。
一過性の疲労や長時間の立位・座位によるむくみもありますが、慢性的に続く場合や歩行時に痛みを伴う場合は、心不全や末梢動脈疾患などの重大な病気のサインである可能性があり、注意が必要です。
心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなると、血液が下肢にうっ滞して足のむくみが出現します。進行すると夜間の呼吸困難や体重増加を伴うことがあります。両側性のむくみが特徴で、早期の治療が必要です。
下肢の深部静脈に血の塊(血栓)ができ、血流が妨げられることで足の腫れやむくみ、ふくらはぎの痛みを生じます。長時間の飛行機移動や手術後、長期臥床で発症しやすく、「エコノミークラス症候群」とも呼ばれます。血栓が肺に飛ぶと肺塞栓症となり、命に関わることもあります。
足の静脈の弁が壊れて血液が逆流し、血管が膨らんで瘤状になる疾患です。夕方になると足のむくみやだるさが強くなり、見た目にボコボコとした血管の隆起が確認されます。慢性的に続きますが、命に直結することは少なく、生活の質を低下させる病気です。
足の動脈が動脈硬化により狭くなったり詰まったりすることで、血流が不足し歩行時にふくらはぎや太ももに痛みが生じます(間欠性跛行)。進行すると安静時にも痛みが出たり、潰瘍や壊死に至ることがあります。糖尿病や喫煙、高血圧のある方に多くみられます。時に下肢の切断を余儀なくされる危険もあり注意が必要です。
手術や放射線治療後、あるいは先天的にリンパの流れが悪くなることで発症します。足が象のように硬く腫れるのが特徴で、慢性的に進行しやすい疾患です。片側性のことが多く、長期的なケアが必要となります。
足のむくみや歩行時の痛みがある場合、原因を特定するために以下のような検査が行われます。
身体診察
両側か片側か、圧痕の有無、皮膚の色調変化を確認
血液検査
心不全マーカー(BNP)、腎機能、肝機能、凝固系
心エコー検査
心不全の有無や心機能の評価
下肢静脈エコー
深部静脈血栓症や静脈瘤の評価
ABI検査(足関節上腕血圧比)
動脈硬化の有無や重症度を判定
下肢動脈エコー・CT血管造影
末梢動脈疾患の診断
リンパシンチグラフィ
リンパ浮腫の診断
対処は原因によって異なります。
| 心不全 | 利尿薬や循環器治療 |
|---|---|
| 深部静脈血栓症 | 抗凝固療法 |
| 下肢静脈瘤 | 弾性ストッキング、硬化療法、手術 |
| 末梢動脈疾患 | 禁煙、薬物療法、カテーテル治療、バイパス手術 |
| リンパ浮腫 | 圧迫療法、リンパドレナージ |
足のむくみや歩行時の痛みは、一見「疲れ」と誤解されがちですが、心臓や血管の病気の初期サインである可能性があります。特に片足だけの急な腫れ、歩行時の強い痛み、皮膚の変色などを認める場合は早急な受診が必要です。
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