血圧が高い
血圧が高い

血圧が高い状態(高血圧)は、心臓や血管に過度な負担をかけ、脳卒中・心筋梗塞・心不全・腎不全など命に関わる病気の大きな危険因子です。
高血圧は大きく、本態性高血圧(明確な原因は特定できず、遺伝的素因と生活習慣が関与)、二次性高血圧(腎疾患・内分泌疾患・血管の異常など、特定の病気が原因)に分けられます。
日本人の高血圧の約9割は本態性高血圧で、加齢、塩分過多、肥満、運動不足、喫煙、過剰飲酒、精神的ストレスなどが複合的に関与します。
一方で、二次性高血圧は原因疾患を治療することで血圧の正常化が期待できるため、若年発症、高度高血圧、薬剤抵抗性高血圧では必ず鑑別が必要です。急激な血圧上昇(高血圧緊急症)は、頭痛・胸痛・呼吸困難・意識障害などを伴い、脳出血や大動脈解離などを引き起こすため、救急対応が必要です。
高血圧の大部分を占めるタイプで、明らかな原因は特定できませんが、遺伝要因(親や兄弟に高血圧がある)、食生活、運動不足、肥満、ストレス、加齢が関与します。
初期には自覚症状がほとんどありませんが、長期にわたり放置すると動脈硬化が進み、脳・心臓・腎臓の血管障害が進行します。
慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎、慢性腎不全など、腎臓そのものの病気が原因です。腎機能低下によりナトリウムや水の排泄が妨げられ、血圧が上昇します。尿検査異常(蛋白尿・血尿)や腎エコー・血液検査で診断します。
腎動脈が動脈硬化や線維筋性異形成で狭くなることで、腎臓への血流が低下し、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が活性化されて血圧が上昇します。特徴として、片側の腎臓の萎縮、左右の血圧差、治療抵抗性があります。
副腎皮質からアルドステロンが過剰に分泌され、体内にナトリウムと水が蓄積し、高血圧を引き起こします。低カリウム血症による筋力低下や脱力感を伴うことがあります。ホルモン検査(血漿アルドステロン濃度/レニン活性比)と副腎CTで診断します。
副腎や交感神経節に発生する腫瘍で、アドレナリン・ノルアドレナリンなどのカテコラミンを過剰に分泌します。発作的な血圧上昇、動悸、発汗、頭痛が典型的です。発作時には収縮期血圧が200mmHg以上になることもあり、脳血管障害や心不全の原因となります。血中・尿中カテコラミン測定やMRIで診断します。
先天的に大動脈の一部が狭くなる疾患で、若年者の高血圧の原因になります。上肢血圧は高く、下肢血圧は低いのが特徴です。心雑音や脈の左右差がみられることがあります。心エコーやCTで診断します。
高血圧が疑われる場合、まず正確な血圧測定を行い、次に原因の特定と臓器障害の有無を評価します。
血圧測定(外来・家庭・24時間血圧計)
白衣高血圧・仮面高血圧の除外
血液検査
腎機能、電解質、脂質、血糖、ホルモン(レニン・アルドステロン・甲状腺など)
尿検査
尿蛋白・血尿の有無
心電図・心エコー
心肥大・心機能評価
眼底検査
高血圧性網膜症の評価
画像検査(腹部エコー、CT、MRI)
腎疾患や副腎腫瘍、大動脈の異常を確認
減塩(1日6g未満)、適正体重維持、運動習慣(有酸素運動)、禁煙、節酒、ストレス対策
Ca拮抗薬、ARB/ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬などを症例に応じて選択
副腎腫瘍摘出、腎動脈形成術など
急激な血圧上昇に頭痛・胸痛・呼吸困難・視覚症状・意識障害を伴う場合は、高血圧緊急症の可能性があり、即時救急対応が必要です。
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